【初めての帯広豚丼・1選】 走馬灯に登場決定「ぱんちょう」

読者に美味しい豚丼の実物をお見せする 旅先「孤独のグルメ」

本当に申し訳ありません。埼玉県民の分際で、帯広豚丼、ナメてました。

帯広に来たからには、やっぱり名物の豚丼は外せない。

でも、ひと口に「豚丼」と言っても、無数のお店があります。他にも色々食べたいものがあるし、お店選びは絶対失敗したくない!

そんなあなたに、「もうマジで間違いない豚丼」が食べられるお店をご紹介します。

見事に一度、お店選びに失敗したわたしは、「おい、旨い店で食べると全く違うじゃないか……」と驚愕しました。この記事を読んだ帯広旅行を検討中のあなたには、同じ失敗をさせません。

※ちなみに、ブログではよく【●●なお店7選】などの、選択肢をたくさん用意してくれる記事がありますが、正直、「ひとつに絞ってくれ」と読みながらよく思っていました。こちとら初心者だから。いっこで十分だから。なので、この記事では1選にしました。

結論、初めての豚丼は、帯広駅前の「ぱんちょう」で食べてください。

あれ? 豚丼、こんなもんか?

「梅雨から逃げたい」という非常に消極的な理由で六月の旅先を北海道・帯広にしたわけですが、じゃあ、梅雨から逃げて何をしようかと。

帯広についてわたしが知っていることなどほとんどありませんでしたが、豚丼が有名だったような……くらいのうすらぼんやりした知識はあったので、ひとまず豚丼を求めて街へ。

しかし、ここで問題が。

事前サーチが極めて不得意なもので、「シェアハウスから歩いて行けるから」というやる気のない理由で、一番近くにあるお店へ行ってしまったのです。

それに、失礼なことではありますが、「名物に旨いものなし」という言葉を、どこかで信じている節がありました。特に有名なものがない埼玉県出身者のひがみでしょうか。

だから、豚丼に関しても、さほど期待はしていませんでした。大学の講義でいうところの「一般教養」というか、帯広に来たのならとりあえず豚丼は履修しておくか、そんな気持ちでした。

シェアハウスからその豚丼屋さんまでは歩いて7分。さあさあ、見せてくれよ、帯広の力。

着きました。

食べました。

結果。

普通。

もう、大変に、普通。

まずくはないけど、特別、美味しくもない。出されたのは紛れもなく豚丼なのですが、こう、豚丼だなと。それは間違いないなと。米の上に豚が載ってりゃ豚丼です。そりゃそうです。

北海道だからって、期待しすぎた自分が悪かったよな。「名物に旨いものなし」ってか。いや、全然まずくはないけど。はは、なんだか淋しいや。とりあえず、豚丼は履修したからいいか。それっきり、豚丼のことは忘れていました。

あー、豚丼。イマイチだったやつか

それから四日後、六花亭本店でお茶するべく、バスで帯広駅へ向かいました。ちなみに、「北の大地」のドライバーは、とてもワイルドです。バスの運転手さんも優しい口調のアナウンスとは裏腹に、急発進・急停車・けっこうなスピードの三重奏で、ちょっぴり吐き気を催しました。てへへ。辛い。

到着は11時。少し早いけど、先にお昼をいただくことにしました。もう三回目だけど、インデアンカレーへ行っちゃおうかしら……と帯広駅前で周囲を見渡したところ、「元祖豚丼・ぱんちょう」の看板が。

豚丼って、前に履修したやつか。一応、単位は取ったけど、なんかしっくりこなかったな。

よく見ると、店前には行列が。すっげーな。まだ木曜だぞ。開店前なのに。時間もあるし並んでみることにしました。(※画像は退店後に撮ったものです。入店前は人がいっぱいでビビって撮れませんでした)

「ぱんちょう」の歴史。歳をとったせいか、こういうものをじっくり読むクセがつきました。

「ぱんちょう」入店

メニューは「松・竹・梅・華」。こちらのお店は、普通のメニューと違って、「梅」の方が、良いお値段。旦那さんが戦地にいる間、お店を守ってくれた奥様の「ウメさん」への敬意が込められているそうで。ええ話や。

お味噌汁は別注文。わたしはなめこのお味噌汁と、せっかくだからと一番上の豚丼・「華」を注文。(ぱんちょうの豚丼はお肉の量によって価格が違います)

あまり広くない店内はこざっぱりとして清潔そのもの。女性スタッフさんの簡潔で温かい接客に、老舗の余裕を感じました。白いレトロなエプロンが可愛い。

この豚丼、セクシー・ダイナマイツ!

やがて運ばれてきた豚丼。ふたからお肉がはみ出ています。「豊満」という言葉が脳裏に浮かびました。肉がくっついてきちゃうから蓋はゆっくり開けてね、とお店のお姉さん。

読者に美味しい豚丼の実物をお見せする

驚愕のグリーンピース

厚い肉で一面覆われて、ご飯が見えません。カリッと焼き目のついた脂身にドキドキしながら、何気なく、まずはグリーンピースに箸を伸ばしました。

え、こういうグリーンピースってこんなに美味かったっけ、と初手で驚愕。

きれいな翡翠色のグリーンピースをぷちっと噛むと、薄くて柔らかい皮が弾けて、豆の旨みと甘味が広がる。ちょっとビックリしてしまって、

え、なに、え、うま、

と小声でボソボソつぶやきました。まさか肝心の豚の前にグリーンピースでこんなに感激するとは。

なんと旨い豚。そして、タレ。米

そして、豚。

頬張ろうと口を開けると、炭火のいい香りが、ふわん、と口へ入ってきます。肝心の豚肉は、厚く、柔らかく、しっかり噛むのがとても楽しい。噛むごとにうまいんです。じわっ、じわっ、とひと噛みごとに肉と脂の旨味が広がって、そろそろご飯を頬張りたいのに、まだ噛んでいたくてもどかしい。

タレはとろみのないサラッとしたタイプで、スッキリした甘さでした。少しの渋味が、味に深さを与えていて、余計な味がしません。少し固めに炊かれたお米に、決して多くも少なくもない量のタレ。

熱々のなめこのお味噌汁も、別注文だけあって、「しっかり一品」という感じ。

……参った。めちゃくちゃにうめぇ。

もうそれからは、夢中で箸を動かしました。食べれば食べただけ減っていくのがちょっと寂しい、ちょっと切ない、でも箸が止まらない。

箸袋の裏に書かれた「ぱんちょう」の歴史

「ぱんちょう」が正解

「ぱんちょう」の豚丼は、全部が正しい位置に収められている、そういう美味しさでした。

全部がちょうどいい。人間、「余計なことをしない」ことは、意外と難しい気がします。もっと良くしたかったら、何か加えたくなるものじゃないでしょうか。それをしていない。それが、素晴らしく良い。

ご覧のようにわたしは食べることが異様に好きな人間です。おそらく、人生最期に見るという走馬灯は、グルメガイドブックのような有様だと思います。あの時のあれが美味かった、この時のそれが美味かった。

「ぱんちょう」の豚丼は、わたしの「走馬灯グルメガイドブック」に掲載決定が決まりました。

豚丼、二回履修して本当に良かった。そう思いました。「名物に旨いものなし」なんて、とんでもない。わたしは愚かな埼玉県民です。埼玉県民には草でも食わせておけ! と二階堂ふみに罵られても仕方ない。申し訳ありませんでした。

もちろん、ベテランの北海道旅行者の方なら、色んなお店の豚丼を食べ比べて、「ぱんちょうより旨い店あるから!」と言うかもしれません。

でも、わたしが初めて帯広に来て豚丼を食べ、確実に感動したのは「ぱんちょう」でした。

もし初めて帯広に行くなら、ぜひ食べてください。「ぱんちょう」の豚丼。

そして、わたしと同じ走馬灯を見ましょう。

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